数量は多 演劇的自叙伝1～4（村山知義） 人文/社会

村山知義『演劇的自叙伝』全4巻\r\r古書店から購入したものですが、巻ごとにパラフィン紙があったり（1，3巻）なかったり（2，4巻）、刷数もばらばらで（写真8枚目に各巻の奥付をまとめてあります）、使用感や傷み加減が微妙に違っているので、おそらく持ち主の異なる巻を古書店が合わせたものと思われます。\r\r1巻の硫酸紙（薬包紙のような薄紙）は数箇所、糊で止められていますが、本体に糊付けされていないので剥がすことはできます。\r\r2巻がもっともよく読まれたようで、ペンと鉛筆による線引き・書き込みがありますが、読んでいてそれほど目障りになるものではありませんでした。他巻には線引きや書き込みは見られないので、やはり一番おもしろい巻ということかもしれません。\r3巻のパラフィン紙は背の上部に破れがあります（アップロード写真は剥がして撮影しています）。\r4巻は、それ以前の版元（東邦出版）ではなく、村山知義が率いた東京芸術座から、逝去の翌月に刊行されています。その際、発行部数が減少したのか、他の巻に比べて見かけることがあまりないのですが、個人的には2巻以上に興味深く読みました。\r\r第4巻には別刷4ページの追悼文が付されていて、購入の際の確認ポイントかと思います。この自叙伝について追悼文は、著者が死の間際まで「声をはげまして口述筆記をとらせて」いたと述べて、一周忌をめざして第5巻の刊行が図られていたということです。\r結局、その企画は日の目を見ないまま終わりました。戦前の新協劇団などについての重要な証言がまとめられなかったのは、かえすがえすも残念なことです。\r\r装幀は著者自身によるもの。貴重な図版多数。

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